分野を越えて人とつながりながら自分と大学の将来を築く

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礒部 繁人

平成23年度総合型採用 テニュアトラック助教 創成研究機構(ホスト部局:工学研究院)

三浦 恭子

平成25年度部局女性型採用 テニュアトラック講師 遺伝子病制御研究所

上原 亮太

平成25年度総合型採用 テニュアトラック助教 創成研究機構(ホスト部局:先端生命科学研究院)

アドバイザーや L-Stationによるソフト・ハード両面のサポートでスタートアップがスムーズ

北大はオープンファシリティーに研究設備が充実しているのでこれまでできなかった実験も可能になりました。

私も部局の先生方が実験機器を融通してくださったので助かりました。アドバイザーの先生の研究室も近くにあり、立ち上げの時は週に一、二度は相談に行っていました。私の部局は教員同士のつながりが強いので、飲み会も多くそこで知り合いが増えました。テニュアトラックの最初の時期は研究に集中できるようにと、今は部局教育への関わりも少なめです。総合型ではどうですか?

普段、総合型の教員は創成研究機構にある研究室にいますが、部局の先生方や研究支援室の方から頻繁に連絡をいただいています。授業や実習なども負担にならない範囲で持たせてもらっているので、部局の様子を知りつつ研究することができています。気になることは部局の方々に気軽に相談できますし、先生方からも「わからないことはありませんか?」と声をかけていただいています。部局からの働きかけを通して知り合いが増えていくうちに、自然に仲間に入れていただいていた感じですね。

私の実験動物は今まで北大の研究者が扱っていない種でしたので飼育環境を整えるのに高いハードルがありましたが、部局の事務やL-Stationの方たちが親身になって相談に乗ってくれたおかげでかなり円滑に進めることができました。費用もテニュアトラックのスタートアップ資金で賄うことができました。

私も様々な事務手続きをL-Stationのスタッフが手伝ってくださるので助かっています。

L-Stationが積極的に人を紹介してくださるのもありがたいです。同じテニュアトラック教員でも、学内で別々の場所にいるとなかなか会う機会がないので、最初の頃はよく、誰かがL-Stationの事務室に来るたびに連絡をいただき、顔合わせをしていました。

私は着任した時に創成研究機構の中を回って先生方を紹介してもらいました。北大は人と人とのつながりを大事にしているなと感じています。学外から来ると右も左もわからないので、L-Stationや部局、URAステーション(※)の人たちが積極的に人をつなげて下さるのは本当にありがたいです。
※北大URAステーション…研究者とともに研究活動の企画・マネジメント、研究成果活用促進を行う機関

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異分野のテニュアトラック教員による活発な分野横断型共同研究

私は触媒化学研究センターや電子科学研究所の先生と共同研究をしています。北大は学内での共同研究が多いと思いますね。

テニュアトラック教員同士であることがきっかけで始まった共同研究がいくつもあるという話は、先輩からもよく伺います。教員の研究分野は多岐に渡っていることから、学際的な共同研究も盛んに行われていますね。私自身もテニュアトラック交流会などで異分野の先生方から自分の知らないことを伺ったり、新しい視点をもらったりしています。私は細胞分裂の研究をしていて、細胞が温度などの細胞環境の変化にどのように適応するかについても興味があります。哺乳類で変温動物なのはナマケモノくらいなのかと思っていましたが、三浦さんの研究対象であるハダカデバネズミも変温だと伺って驚きました。

ぜひ、いつかコラボしたいです。

ぜひ、よろしくおねがいします。また、テニュアトラック交流会では自分の発表に対してたくさん質問していただきました。礒部さんに「月の満ち欠けと細胞周期の関係」について質問をいただき、それまで考えたこともなかったのですが、元を辿れば何か影響があるだろうなと考えさせられました。やっぱりいろんな方から全く違う視点で質問されるのはいいなと思いましたね。

真社会性齧歯類ハダカデバネズミの老化耐性・がん化耐性機構に関与する遺伝子群の同定や耐性機構の解析を行っています。

真社会性齧歯類ハダカデバネズミの老化耐性・がん化耐性機構に関与する遺伝子群の同定や耐性機構の解析を行っています。(三浦 恭子)

北大中に散らばったテニュアトラック出身教員のネットワークが部局間連携を強める大きな力に

総合型の教員に対する教育プログラムの一環として、採用年度の近い先生とチームを作って総長に大学の教育や運営について提案をするという、「総長提言」というプログラムがあるのですが、私たちの時は5人のメンバーで平均すると月1回は集まって話し合いました。

提言というのは文章ですか?

プレゼンです。我々の時は具体的なテーマが与えられなくて自分たちで決めました。北大を良くするためにはどうしたらいいかというテーマについて、北大を国内の大学ランキング上位にもっていこうというくらいの意気込みでプレゼンしました。根本的には研究力や学生の質の向上が解決策になりますが、20年後くらいの近い将来を見据えて少々過激な意見も出たり、いろんなことを話し合いました。

北大は個々の研究者がつながりやすいので、今後、大学全体で連携して大きな方向性を打ち出す動きがさらに増えても良いのかもと思います。でも、テニュアトラックっていろんな分野の先生が今何十人もいるわけですよね。その横の繋がりが10年後、20年後も続いてそれぞれが教授になっていたら、部局間の繋がりがすごく強化されて、大学全体を動かして大きな研究費を獲得できるような力になれるんじゃないでしょうか。

それはいいですね。総長提言は多い時は月に3〜4回も集まっていたので大変な部分もありましたが、そういう機会がないと総合型とはいえあまりテニュアトラックの先生同士会わないので、振り返ってみると先生方との交流という意味でもやって良かったと思います。

水素吸蔵合金のナノ構造や非平衡相形成に関して電子顕微鏡法を用いた研究を行っています。

水素吸蔵合金のナノ構造や非平衡相形成に関して電子顕微鏡法を用いた研究を行っています。(礒部 繁人)

5年後のテニュアポストが担保されている安心感で研究へのモチベーションも向上

一口にテニュアトラックといっても、日本ではまだ手探りの状態で大学によって内容は大分違います。

私が北大テニュアトラック国際公募に応募した理由のひとつは、最初から全員にテニュアポストが担保されていたからです。もちろんテニュアとして採用になるかどうかは5年後の実力で判断されるわけですが、椅子取り合戦ではないという安心感によって、思い切って、より大きな目標に向かって研究に集中することができます。

北大のテニュアトラックは制度がうまくまわっているので、平成19年度から平成23年度にかけての第一期事業(北大基礎融合科学領域リーダー育成システム)はS評価をもらっていますよね。

大学全体を盛り上げるためにも、テニュアトラックのように若い人が独立して、自分の名前を看板に研究できる制度をこれからも維持していって欲しいと思います。

細胞分裂を制御する“細胞装置”の造りと働き方を調べ、細胞が正しく二つに分かれる仕組みの解明を目指しています。

細胞分裂を制御する“細胞装置”の造りと働き方を調べ、細胞が正しく二つに分かれる仕組みの解明を目指しています。(上原 亮太)