笠原 正典
北海道大学 理事・副学長
人材育成本部長

北海道大学では、平成19年度から文部科学省補助事業「若手研究者の自立的研究環境整備促進事業」の支援を受け、5年間の活動を通じてテニュアトラック制度の基礎を構築しました。それに続く「テニュアトラック普及・定着事業」ではテニュアトラック制度の全学的な普及・定着に努めてきました。

これまでの10年間のテニュアトラック事業によって本学が得た財産は大きく三つあると思います。一つ目は事業の狙いである“若手研究者の活躍”です。本学テニュアトラック国際公募では国内外から多くの研究者に応募をいただき、難関を勝ち抜いて採用になったテニュアトラック教員を育成してテニュア職に送り出してきました。テニュア教員として部局に着任後の若手研究者は、研究教育で成果を挙げるとともに所属部局での諸活動で重要な役割を果たし、活躍の幅を広げています。二つ目は“部局を越えた若手研究者の交流”です。長期に渡り全学統一でテニュアトラック制度を運営してきた結果、同期採用のテニュアトラック教員を中心とした部局を越えた交流が活性化し、それをきっかけとして共同研究に発展するなどの学際化につながりました。三つ目は大学の”国際化への貢献”です。本学で採用したテニュアトラック教員は、外国籍研究者の比率が高いことに加えて、日本人研究者でも半年以上の海外経験を積んだ研究者が多くいます。彼らは海外大学との協定締結や国際共同研究、異文化交流の橋渡し役として大きな役割を果たしています。

大学経営環境はますます厳しさを増していますが、研究人材育成は長期的な展望に立った地道な積み上げが不可欠です。北海道大学は、2026年度に創基150年と言う重要な節目を迎えますが、それに向けた改革戦略「北海道大学近未来戦略150」をまとめました。この中では「次世代を担う若手研究者などを支援・育成する」ことを計画骨子のひとつとし、“若手研究者早期育成のための分野に応じたテニュアトラック制度の拡大”をうたっています。「近未来戦略」を踏まえた第三期中期計画(平成28年度から平成33年度)においては、本学がこれまで培ってきたテニュアトラック制度をさらに発展させて、大学の研究力強化につなげていきます。