人脈形成から異分野研究者との共同研究に発展

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千葉 由佳子
理学研究院 生物科学部門 生物科学分野 准教授

北大テニュアトラック制度では人脈形成が推奨されており、その一環としてシンポジウムの開催が義務づけられていました。この取り組みによって同じ研究分野に属する国内外の研究者との交流が深まり、結果として植物RNA研究のネットワークを築くことができました。テニュアトラック期間終了後も定期的なシンポジウムの開催やWEBサイトの作成を通じて、さらなる研究者間の交流に努めており、共同研究も進んでいます。他のテニュアトラック教員との出会いからは2つの共同研究が生まれました。テニュアトラック出身の数学の先生とは分子生物学の研究に数学的アプローチを加えることを目指しています。また、同じくテニュアトラック出身の数理生物学の先生が中心となった共同研究には分子生物学者として加わらせてもらい、この成果は既にNature CommunicationsとEcology Lettersに発表することができました。テニュアトラックの目的の一つである異分野研究者との交流が有意義なものになったのは、最初から全員分のポストが用意されており、メンバー間に利害関係がなかったことが一番重要なポイントだったと思います。テニュアトラックがなかったらおそらく話をする機会もなかった研究者と交流を続けていくことで、自分の専門分野にとどまらず新しい研究を展開していきたいと思います。

 

 異分野連携こそユニークな研究を生み出す最高の道と確信

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黒川 孝幸
先端生命科学研究院 先端融合科学研究部門 ソフト&ウェットマター研究室 准教授

テニュアトラック期間中はL-Stationのサポートを受けながら独立研究室を運営することができ、テニュア審査後の部局移行も事前に道筋をつけてくれているので、研究に打ち込める環境が整っていました。また、L-Stationがテニュアトラック教員を繋ぐハブとなって様々なイベントに誘ってくれたおかげで、通常研究で接点のない教員同士で話をする機会ができ、何度も集まるにつれて異分野研究への理解がどんどん進みました。私は高分子ゲルという材料系の研究をしていますが、ゲルの含水性を生かす応用展開を模索しているときに、テニュアトラック教員のまったく異分野の研究をお聞きすることによって、ゲルをタンパク生産のカプセルや植物栽培の土壌代わりに用いるなど、アイディアが膨らみました。実際に、植物が専門のテニュアトラック出身の先生に共同研究を提案し、ゲルの上で植物を栽培する研究を進めています。このように様々な分野の研究者とのディスカッションを通じて、異分野連携こそ自身の研究の幅を広げ、ユニークな研究を立案する最高の道であると確信できたことが、テニュアトラックでの経験からしか得られない貴重な成果だったと思います。

 

研究室のマネジメントを学びつつ、自由な研究に打ち込める環境

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柳澤 達也
理学研究院 物理学部門 凝縮系物理学分野 准教授

北大及び日本におけるテニュアトラック制度の黎明期で苦労もありましたが、私のアドバイザーがテニュアトラック教員の立場を良く理解してくださっていたので、研究室の主宰者として自由に研究することができ、テニュアトラック期間を通じてアカデミックフリーダムは十分に確保されていました。私の研究は基礎的で成果が出るまでに時間がかかるため、テニュア移行後も見据え、テニュアトラック期間当初より部局において積極的に学部生、大学院生の指導をすると同時に、若く情熱的な学生のパワーをもらいながら研究を進めていたので、自立した研究者として研究室をマネジメントする修練も積むことができました。リーダー育成プログラムの一環では、海外のテニュアトラック制度の現状を調査・分析し、北大でのベストなテニュアトラック制度について総長提言する機会を得ました。その過程において、同年代の異分野の研究者達と研究者のキャリアパス等に関して密に意見を交わし、異なる価値観に触れられたことは何よりの収穫でした。自身の研究内容を一歩ひいた広い視野で眺める癖がついたのも、異分野の研究者との対話を重ねた結果です。また、物理のみならず様々な研究分野を平等かつ多角的にみられるようになったことは、異分野の研究者が審査委員として名を連ねるような競争的資金の申請書類やヒアリング資料の作成に多いに役立っていると感じています。